科学
ファスティングと脳
集中力、気分、そして空腹でイライラする感覚。食事を抜いたときに頭の中で起きていることと、まだ誇張にすぎないこと

ファスティングで頭がさえて落ち着くという人もいれば、頭がぼんやりしてイライラするという人もいます。どちらも本当のことがあります。脳は体の中で最もエネルギーを必要とする臓器で、ファスティングに興味深い形で適応します。人を対象にした研究が思考、気分、長期的な脳の健康について示していること、そして世間の主張が根拠を追い越しているところを紹介します。
ファスティング中、脳はどうやってエネルギーを得るか
脳はふだん、ほぼブドウ糖だけで動いています。ファスティング中、肝臓はまず血糖値を安定させ、それから脂肪からケトン体を作り始めます。ケトン体は脳に入り、燃料として使われます。医師の管理下で何週間も絶食した患者では、ブドウ糖に代わってケトン体が脳の主な燃料になりました 7。ふつうの毎日のファスティングでは切り替わりは一部だけですが、初日のうちに始まります。
空腹でもはっきり考えられる?
これは最もよく研究されている疑問で、答えは安心できるものです。2025年のメタ分析は、健康な成人が注意力や自制心のテストなどの標準的な思考課題を、空腹時または食後に行った実験をまとめました。
空腹でイライラするのは本当
これを知っておくと役立ちます。ファスティングの終わりごろにイライラしたら、それは状況のせいではなく、たぶん空腹のせいです。そう自覚して、水を少し飲み、食べるまでは難しい話や決断を避けましょう。多くの人では、最初の数週間で体が慣れるにつれて、空腹も気分の波も落ち着いていきます。
数週間から数か月の気分
長期的にはどうでしょう?スペイン主導の14件の研究のメタ分析では、間欠的ファスティングは心の健康を損なわないことがわかりました。うつの評価は対照群に比べて下がり、不安や全体的な気分は変わりませんでした 3。2025年のグラナダとパンプローナの試験では、8時間の食事枠で食べた成人は、早い時間、遅い時間、自分で選んだ時間のどれでも、気分や生活の質に変化はありませんでした 4。また、早い時間の8時間枠の試験では、疲労感が減り、活力が増したと報告されました 8。
脳の健康:期待はあるが証明はない
ファスティングで脳の成長因子が増える、新しい神経細胞が育つ、アルツハイマー病を防ぐ、といった話を読んだことがあるかもしれません。こうした考えは主に動物研究から来ています。この分野の第一線の研究者によるレビューは、絶食と食事、あるいは運動と休息のサイクルが、動物の脳をストレスや損傷に強くする適応を引き起こす仕組みを説明しています 5。興味深い分野ですが、人では示されていません。人の試験はこれまでのところ少なく、小規模で、期間も短いのです 6。
出典
- Bamberg C, Moreau D. Acute effects of fasting on cognitive performance: A systematic review and meta-analysis. Psychol Bull. 2025;151(9):1147-1169. doi.org/10.1037/bul0000492
- Swami V, Hochstöger S, Kargl E, et al. Hangry in the field: An experience sampling study on the impact of hunger on anger, irritability, and affect. PLoS One. 2022;17(7):e0269629. doi.org/10.1371/journal.pone.0269629
- Fernández-Rodríguez R, Martínez-Vizcaíno V, Mesas AE, et al. Does intermittent fasting impact mental disorders? A systematic review with meta-analysis. Crit Rev Food Sci Nutr. 2023;63(32):11169-11184. doi.org/10.1080/10408398.2022.2088687
- Clavero-Jimeno A, Dote-Montero M, Migueles JH, et al. Time-Restricted Eating and Sleep, Mood, and Quality of Life in Adults With Overweight or Obesity: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2025;8(6):e2517268. doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.17268
- Mattson MP, Moehl K, Ghena N, et al. Intermittent metabolic switching, neuroplasticity and brain health. Nat Rev Neurosci. 2018;19(2):63-80. doi.org/10.1038/nrn.2017.156
- Senderovich H, Farahneh O, Waicus S. The Role of Intermittent Fasting and Dieting on Cognition in Adult Population: A Systematic Review of the Randomized Controlled Trials. Med Princ Pract. 2023;32(2):99-109. doi.org/10.1159/000530269
- Owen OE, Morgan AP, Kemp HG, et al. Brain metabolism during fasting. J Clin Invest. 1967;46(10):1589-95. doi.org/10.1172/JCI105650
- Jamshed H, Steger FL, Bryan DR, et al. Effectiveness of Early Time-Restricted Eating for Weight Loss, Fat Loss, and Cardiometabolic Health in Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2022;182(9):953-962. doi.org/10.1001/jamainternmed.2022.3050
健康について
Fasting Trackerは一般的な健康管理のためのアプリで、医療機器ではありません。ファスティングは誰にでも適しているわけではありません。妊娠中の方、糖尿病の方、摂食障害の経験がある方、薬を服用中の方は、まず医師にご相談ください。長時間の断食の前にも、医師にご相談ください。

